伝道者の書7-9 ; Ⅱコリント13

伝道の書

第7章

7:1良き名は良き油にまさり、
死ぬる日は生るる日にまさる。
7:2悲しみの家にはいるのは、
宴会の家にはいるのにまさる。
死はすべての人の終りだからである。
生きている者は、これを心にとめる。
7:3悲しみは笑いにまさる。
顔に憂いをもつことによって、
心は良くなるからである。
7:4賢い者の心は悲しみの家にあり、
愚かな者の心は楽しみの家にある。
7:5賢い者の戒めを聞くのは、
愚かな者の歌を聞くのにまさる。
7:6愚かな者の笑いは
かまの下に燃えるいばらの音のようである。
これもまた空である。
7:7たしかに、しえたげは賢い人を愚かにし、
まいないは人の心をそこなう。
7:8事の終りはその初めよりも良い。
耐え忍ぶ心は、おごり高ぶる心にまさる。
7:9気をせきたてて怒るな。
怒りは愚かな者の胸に宿るからである。
7:10「昔が今よりもよかったのはなぜか」と言うな。
あなたがこれを問うのは知恵から出るのではない。
7:11知恵に財産が伴うのは良い。
それは日を見る者どもに益がある。
7:12知恵が身を守るのは、金銭が身を守るようである。
しかし、知恵はこれを持つ者に生命を保たせる。
これが知識のすぐれた所である。
7:13神のみわざを考えみよ。
神の曲げられたものを、
だれがまっすぐにすることができるか。
7:14順境の日には楽しめ、逆境の日には考えよ。神は人に将来どういう事があるかを、知らせないために、彼とこれとを等しく造られたのである。
7:15わたしはこのむなしい人生において、もろもろの事を見た。そこには義人がその義によって滅びることがあり、悪人がその悪によって長生きすることがある。7:16あなたは義に過ぎてはならない。また賢きに過ぎてはならない。あなたはどうして自分を滅ぼしてよかろうか。7:17悪に過ぎてはならない。また愚かであってはならない。あなたはどうして、自分の時のこないのに、死んでよかろうか。7:18あなたがこれを執るのはよい、また彼から手を引いてはならない。神をかしこむ者は、このすべてからのがれ出るのである。
7:19知恵が知者を強くするのは、十人のつかさが町におるのにまさる。
7:20善を行い、罪を犯さない正しい人は世にいない。
7:21人の語るすべての事に心をとめてはならない。これはあなたが、自分のしもべのあなたをのろう言葉を聞かないためである。7:22あなたもまた、しばしば他人をのろったのを自分の心に知っているからである。
7:23わたしは知恵をもってこのすべての事を試みて、「わたしは知者となろう」と言ったが、遠く及ばなかった。7:24物事の理は遠く、また、はなはだ深い。だれがこれを見いだすことができよう。7:25わたしは、心を転じて、物を知り、事を探り、知恵と道理を求めようとし、また悪の愚かなこと、愚痴の狂気であることを知ろうとした。7:26わたしは、その心が、わなと網のような女、その手が、かせのような女は、死よりも苦い者であることを見いだした。神を喜ばす者は彼女からのがれる。しかし罪びとは彼女に捕えられる。7:27伝道者は言う、見よ、その数を知ろうとして、いちいち数えて、わたしが得たものはこれである。7:28わたしはなおこれを求めたけれども、得なかった。わたしは千人のうちにひとりの男子を得たけれども、そのすべてのうちに、ひとりの女子をも得なかった。7:29見よ、わたしが得た事は、ただこれだけである。すなわち、神は人を正しい者に造られたけれども、人は多くの計略を考え出した事である。

第8章

8:1だれが知者のようになり得よう。
だれが事の意義を知り得よう。
人の知恵はその人の顔を輝かせ、
またその粗暴な顔を変える。
8:2王の命を守れ。すでに神をさして誓ったことゆえ、驚くな。8:3事が悪い時は、王の前を去れ、ためらうな。彼はすべてその好むところをなすからである。8:4王の言葉は決定的である。だれが彼に「あなたは何をするのか」と言うことができようか。8:5命令を守る者は災にあわない。知者の心は時と方法をわきまえている。8:6人の悪が彼の上に重くても、すべてのわざには時と方法がある。8:7後に起る事を知る者はない。どんな事が起るかをだれが彼に告げ得よう。8:8風をとどめる力をもつ人はない。また死の日をつかさどるものはない。戦いには免除はない。また悪はこれを行う者を救うことができない。8:9わたしはこのすべての事を見た。また日の下に行われるもろもろのわざに心を用いた。時としてはこの人が、かの人を治めて、これに害をこうむらせることがある。
8:10またわたしは悪人の葬られるのを見た。彼らはいつも聖所に出入りし、それを行ったその町でほめられた。これもまた空である。8:11悪しきわざに対する判決がすみやかに行われないために、人の子らの心はもっぱら悪を行うことに傾いている。8:12罪びとで百度悪をなして、なお長生きするものがあるけれども、神をかしこみ、み前に恐れをいだく者には幸福があることを、わたしは知っている。8:13しかし悪人には幸福がない。またその命は影のようであって長くは続かない。彼は神の前に恐れをいだかないからである。
8:14地の上に空な事が行われている。すなわち、義人であって、悪人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。また、悪人であって、義人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。わたしは言った、これもまた空であると。8:15そこで、わたしは歓楽をたたえる。それは日の下では、人にとって、食い、飲み、楽しむよりほかに良い事はないからである。これこそは日の下で、神が賜わった命の日の間、その勤労によってその身に伴うものである。
8:16わたしは心をつくして知恵を知ろうとし、また地上に行われるわざを昼も夜も眠らずに窮めようとしたとき、8:17わたしは神のもろもろのわざを見たが、人は日の下に行われるわざを窮めることはできない。人はこれを尋ねようと労しても、これを窮めることはできない。また、たとい知者があって、これを知ろうと思っても、これを窮めることはできないのである。

第9章

9:1わたしはこのすべての事に心を用いて、このすべての事を明らかにしようとした。すなわち正しい者と賢い者、および彼らのわざが、神の手にあることを明らかにしようとした。愛するか憎むかは人にはわからない。彼らの前にあるすべてのことは空である。9:2すべての人に臨むところは、みな同様である。正しい者にも正しくない者にも、善良な者にも悪い者にも、清い者にも汚れた者にも、犠牲をささげる者にも、犠牲をささげない者にも、その臨むところは同様である。善良な人も罪びとも異なることはない。誓いをなす者も、誓いをなすことを恐れる者も異なることはない。9:3すべての人に同一に臨むのは、日の下に行われるすべての事のうちの悪事である。また人の心は悪に満ち、その生きている間は、狂気がその心のうちにあり、その後は死者のもとに行くのである。9:4すべて生ける者に連なる者には望みがある。生ける犬は、死せるししにまさるからである。9:5生きている者は死ぬべき事を知っている。しかし死者は何事をも知らない、また、もはや報いを受けることもない。その記憶に残る事がらさえも、ついに忘れられる。9:6その愛も、憎しみも、ねたみも、すでに消えうせて、彼らはもはや日の下に行われるすべての事に、永久にかかわることがない。
9:7あなたは行って、喜びをもってあなたのパンを食べ、楽しい心をもってあなたの酒を飲むがよい。神はすでに、あなたのわざをよみせられたからである。
9:8あなたの衣を常に白くせよ。あなたの頭に油を絶やすな。
9:9日の下で神から賜わったあなたの空なる命の日の間、あなたはその愛する妻と共に楽しく暮すがよい。これはあなたが世にあってうける分、あなたが日の下で労する労苦によって得るものだからである。9:10すべてあなたの手のなしうる事は、力をつくしてなせ。あなたの行く陰府には、わざも、計略も、知識も、知恵もないからである。
9:11わたしはまた日の下を見たが、必ずしも速い者が競走に勝つのではなく、強い者が戦いに勝つのでもない。また賢い者がパンを得るのでもなく、さとき者が富を得るのでもない。また知識ある者が恵みを得るのでもない。しかし時と災難はすべての人に臨む。9:12人はその時を知らない。魚がわざわいの網にかかり、鳥がわなにかかるように、人の子らもわざわいの時が突然彼らに臨む時、それにかかるのである。
9:13またわたしは日の下にこのような知恵の例を見た。これはわたしにとって大きな事である。9:14ここに一つの小さい町があって、そこに住む人は少なかったが、大いなる王が攻めて来て、これを囲み、これに向かって大きな雲梯を建てた。9:15しかし、町のうちにひとりの貧しい知恵のある人がいて、その知恵をもって町を救った。ところがだれひとり、その貧しい人を記憶する者がなかった。9:16そこでわたしは言う、「知恵は力にまさる。しかしかの貧しい人の知恵は軽んぜられ、その言葉は聞かれなかった」。
9:17静かに聞かれる知者の言葉は、愚かな者の中のつかさたる者の叫びにまさる。9:18知恵は戦いの武器にまさる。しかし、ひとりの罪びとは多くの良きわざを滅ぼす。


Ⅱコリント

第13章

13:1わたしは今、三度目にあなたがたの所に行こうとしている。すべての事がらは、ふたりか三人の証人の証言によって確定する。13:2わたしは、前に罪を犯した者たちやその他のすべての人々に、二度目に滞在していたとき警告しておいたが、離れている今またあらかじめ言っておく。今度行った時には、決して容赦はしない。13:3なぜなら、あなたがたが、キリストのわたしにあって語っておられるという証拠を求めているからである。キリストは、あなたがたに対して弱くはなく、あなたがたのうちにあって強い。13:4すなわち、キリストは弱さのゆえに十字架につけられたが、神の力によって生きておられるのである。このように、わたしたちもキリストにあって弱い者であるが、あなたがたに対しては、神の力によって、キリストと共に生きるのである。13:5あなたがたは、はたして信仰があるかどうか、自分を反省し、自分を吟味するがよい。それとも、イエス・キリストがあなたがたのうちにおられることを、悟らないのか。もし悟らなければ、あなたがたは、にせものとして見捨てられる。13:6しかしわたしは、自分たちが見捨てられた者ではないことを、知っていてもらいたい。13:7わたしたちは、あなたがたがどんな悪をも行わないようにと、神に祈る。それは、自分たちがほんとうの者であることを見せるためではなく、たといわたしたちが見捨てられた者のようになっても、あなたがたに良い行いをしてもらいたいためである。13:8わたしたちは、真理に逆らっては何をする力もなく、真理にしたがえば力がある。13:9わたしたちは、自分は弱くても、あなたがたが強ければ、それを喜ぶ。わたしたちが特に祈るのは、あなたがたが完全に良くなってくれることである。13:10こういうわけで、離れていて以上のようなことを書いたのは、わたしがあなたがたの所に行ったとき、倒すためではなく高めるために主が授けて下さった権威を用いて、きびしい処置をする必要がないようにしたいためである。
13:11最後に、兄弟たちよ。いつも喜びなさい。全き者となりなさい。互に励まし合いなさい。思いを一つにしなさい。平和に過ごしなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいて下さるであろう。13:12きよい接吻をもって互にあいさつをかわしなさい。聖徒たち一同が、あなたがたによろしく。
13:13主イエス・キリストの恵みと、神の愛と、聖霊の交わりとが、あなたがた一同と共にあるように。


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